川中
かわなか
名詞
標準
文例 · 用例
天竜川中流の、峻嶮極まる峡谷地帯で一日中日照時間が三時間だとか四時間だとか云ふ地帯にも、こんないい日があるかと思はれるやうな、人の心も清々しくなるやうな一日であつた。
— 葉山嘉樹 『万福追想』 青空文庫
それぎり何事もなく、汽車は川中島を越え、浅間の煙を望み、次第に武蔵の平原に近づきまする。
— 泉鏡花 『湯女の魂』 青空文庫
徳川中期より末期の人。
— 太宰治 『盲人独笑』 青空文庫
すると渡月橋上下六町の間、殺生禁断になっている川中では、平常から集り棲んでいた魚類が寄って来て生飯を喰べます。
— 岡本かの子 『鯉魚』 青空文庫
俗な仕掛花火が始って、ナイヤガラ瀑布は数十間の火の崖となって川中へ一せいに火粉を流しています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
川中島さへ遙に思ふ。
— 泉鏡太郎 『魔法罎』 青空文庫
下 眞田家の領地信州川中島は、列國に稀なる損場にて、年々の損毛大方ならざるに、歴世武を好む家柄とて、殖産の道發達せず、貯藏の如何を顧みざりしかば、當時の不如意謂はむ方無かりし。
— 泉鏡太郎 『十萬石』 青空文庫
一人々々に人形だの、雛の道県だのを持ってる、三人目の、内裏様を一対、両手に持って、袖で掻合して胸に押着けていたのがお夏さん、夜目にも確か、深川中探したって、およそその位なのはないのですからね、……助かった。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫