貰い物
もらいもの
名詞
標準
文例 · 用例
母はこの子を連れて家々の門に立てば、貰い物多く、ここの人の慈悲深きは他国にて見ざりしほどなれば、子のために行末よしやと思いはかりけん、次の年の春、母は子を残していずれにか影を隠したり。
— 国木田独歩 『源おじ』 青空文庫
家の中でマターファと用談を済ませてから、水辺へ下りて行くと、既に貰い物の食物は舟に積込まれてあった。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
大変立派なものを持っとるの」「貰い物だ」と小野さんは、自分も一本抜き取った後で、また見えない所へ投げ込んだ。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
これはほんのお土産のおしるしで……」 善八に風呂敷をあけさせて、取り出した羊羹二本はきのうの貰い物であった。
— 吉良の脇指 『半七捕物帳』 青空文庫
でも、貰い物は貰った人のものよ。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
大抵の者ならイヤに成っちまう……」 豊世が貰い物だと言って、款待顔に羊羮なぞを切って来たので、二人は他の話に移った。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
時々、近所からの貰い物などがあるが、そういう物は、自分の生活とは、ちがった物のような気がして、例えば、菓子を食べても、それが無くなると、欲しいという感じは、絶対にしなかった。
— 直木三十五 『死までを語る』 青空文庫
と、不思議なおめき声をあげると同時に、長庵、その貰い物を土間へ抛り出して、自分は、弾かれたように壁へ倒れかかった。
— 新版大岡政談 『魔像』 青空文庫