隠し芸
かくしげい
名詞
標準
one's party piece
文例 · 用例
その一端に火をつけて「火渡し」と云って次の人に渡すと、次の人は「しりつぎ」と答えて次へ廻す、それからだんだんに東京でいわゆる「尻取り」をするのであるが、言葉に窮して考えている間に火が消えるとその人は何かしら罰として道化た隠し芸を提供実演しなければならないのである。
— 寺田寅彦 『追憶の冬夜』 青空文庫
それは、ポーラとの結婚を祝する座員ばかりの水入らずの宴会の席で、ポーラがふざけて雌鶏のまねをして寄り添うので上きげんの教授もつり込まれて柄にない隠し芸のコケコーコーを鳴いてのける。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
酒宴の席などでいろいろ滑稽な隠し芸などをやって笑い興じているのを見ると、むしろ恐ろしいような物すごいような気がするばかりで、とてもいっしょになって笑う気になれなかった。
— 寺田寅彦 『笑い』 青空文庫
その夜、火消したちは次郎兵衛の新居にぎっしりつまって祝い酒を呑み、ひとりずつ順々に隠し芸をして夜を更しいよいよ翌朝になってやっとおしまいのひとりが二枚の皿の手品をやって皆の泥酔と熟睡の眼をごまかし或る一隅からのぱちぱちという喝采でもって報いられ、祝賀の宴はおわった。
— 太宰治 『ロマネスク』 青空文庫
もっとも、彼は部下の余興を見なければ、酒が咽へ通らないという奇病を持っていたから、その鯨のような飲酒欲を満足させるためには、兵隊たちは常に自分の隠し芸をそれぞれストックして置く必要があった。
— 織田作之助 『昨日・今日・明日』 青空文庫
」 そして、隊長は浪花節はおろか何一つ隠し芸のない彼の所謂「兵隊の屑」には、「何にも出来んけりゃ、逆立ちして歩いてみろ!
— 織田作之助 『昨日・今日・明日』 青空文庫
隠し芸を、凄い奴を知ってるなあ」 という声がかかると、林田は、片手はハーモニカを離す訳にはいかないが、片手には、二月の天龍谿谷の、七十年振りの厳寒というのに、渋団扇を持って、手振り足振り、お睦ちゃんの変装で、舞台へ現われるのだった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
「謹厳」が洋服を着たような満面苦渋の長谷川辰之助先生がこういう意表な隠し芸を持っていようとは学生の誰もが想像しなかったから呆気に取られたのも無理はない。
— 内田魯庵 『二葉亭余談』 青空文庫
作例 · 標準
忘年会の二次会で、同僚が披露したトランプの隠し芸に全員が驚嘆した。
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「うーん、何か隠し芸を持ってないと、こういう宴会の場では困るんだよね」
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彼の隠し芸は、スプーン曲げという古典的だが盛り上がるものだった。
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意外にも物静かな彼女が、飲み会で腹話術の隠し芸を披露して注目の的になった。
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