正房
せいぼう
名詞
標準
文例 · 用例
肋骨君の説明を聞いて知ったのだが、この突当りが正房で、左右が廂房である。
— 夏目漱石 『満韓ところどころ』 青空文庫
肋骨君はこの正房の一棟に純粋の日本間さえ設けている。
— 夏目漱石 『満韓ところどころ』 青空文庫
これほどの肋骨君も正房の応接間は西洋流で我慢している。
— 夏目漱石 『満韓ところどころ』 青空文庫
母となってどこか鋭さが円められた信子は、祖母の名の房の字を貰って、正房と名づけられた幼児と、いたるところに麗しい母子の肖像を描いて正隆を包んだのである。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
もう少しで、そのほかほかと陽炎の立つような生活の安穏に居眠ろうとした正隆は、正房が二歳になった時、思い掛けぬ刺戟を与えられた。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
単に自分だけによいのではない、美くしい、素晴らしい信子のためにもよいのだ、また、小さい、お乳くさい正房のためにもよいのだ、皆によいのだ。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
夢中になった正隆は、正房を抱いた乳母が御隠居様、と呼びながら主屋へ逃げて行ったほど、狂暴な勢で、訳の分らないことを怒鳴りながら、瓶から酒を煽りつけた。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
自分を、富ませ、美くしい信子と、愛すべき正房とを与えて置きながら、どうして、そんなに、足を掬って倒すのだ?
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫