裸樹
らじゅ
名詞
標準
文例 · 用例
冬の莊嚴さを持たない裸樹はぎこちなく筋ばつた枝を空に張つて立並び、糊を塗りつけたやうにべた/\な黒土の上には、芥と枯葉と枯草とがいぎたなく粘り着いて居り、もうすつかり春らしくなつて來た大空に對し殊更ら憐れな對照を作る。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
「ああ佳い気もちだ、人間どもは、逢う者も逢う者も、首をすくめ、水洟をたらして、不景気な顔をしているが、ぜんたい、どうしたと云うのだ」 来宮様の眼には、路傍の枯草がみずみずした緑草に見え、黄いろになった木の葉の落ちつくした裸樹が花の咲いた木に見えていたのであろう。
— 田中貢太郎 『火傷した神様』 青空文庫
その電燈の上に裸樹の桜の枝が微に動いていた。
— 田中貢太郎 『黄燈』 青空文庫
風に搖いでゐる裸樹の梢を越えて、鈍い灰色の雲の中から飛行機の爆音が間斷なく降つてゐた。
— 徳永直 『光をかかぐる人々』 青空文庫