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然々

しかじか
名詞
1
標準
文例 · 用例
のう、便船しょう、便船しょう、と船を渚へ引寄せては、巌端から、松の下から、飜然々々と乗りましたのは、魔がさしたのでござりましたよ。
泉鏡花 草迷宮 青空文庫
何だか寝台の周囲を歩行いたんだが、そう、どっちにしても婦らしく思われた――それがすぐに、息の詰るほど厭な心地だったんではないけれども、こう、じとじとして、湿っぽくッて、陰気で、そこらに鯰でも湧出しそうな、泥水の中へ引摺込まれそうな気がしたんで、骨まで浸透るほど慄然々々するんだ。
泉鏡花 沼夫人 青空文庫
歳月を經て嗜欲の生ずるに連れて、是も自然の數といふものだから是非は無いが、純氣は其の正反對の駁氣を來して、自然々々に駁雜な氣になつて來る。
幸田露伴 努力論 青空文庫
歳月が経って欲が生じるにつれて、これも自然の推移だから仕方ないが、純気はその正反対の駁気を呼んで、自然々々と雑駁な気になって来る。
幸田露伴 努力論(現代訳) 青空文庫
……唖々然々たる私はキヨトンとK君の顔を視詰むるより他は無かつた。
牧野信一 青白き公園 青空文庫
両岸からは如何に高く藤蔓を張っても、其中心に当る点は、自然々々にたるみが出来て水面近く垂れているので有った。
江見水蔭 死剣と生縄 青空文庫
法蓮房は今あった儘を然々と答えると、法然は黙って何も云わなかった。
中里介山 法然行伝 青空文庫
聖武上皇が死床に臥してゐるとき、諸兄が酔つてふともらしたといふ言葉尻をとらへて、佐味宮守といふ者が密告して、左大臣は然々の無礼な言があつたから謀反の異心があるかも知れぬ、と上申した。
坂口安吾 道鏡 青空文庫