抜上
ぬけうえ
名詞
標準
文例 · 用例
へへへ、」 と帽子を上へ抜上げると、元気に額の皺を伸ばして、がぶりと一口。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
髪の薄い天窓を真俯向けにして、土瓶やら、茶碗やら、解かけた風呂敷包、混雑に職員のが散ばったが、その控えた前だけ整然として、硯箱を右手へ引附け、一冊覚書らしいのを熟と視めていたのが、抜上った額の広い、鼻のすっと隆い、髯の無い、頤の細い、眉のくっきりした顔を上げた、雑所という教頭心得。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
苦労も道楽もしたろうのに、雁金額の生際が、一厘だって抜上がっていませんやね、ねえ。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
」と夕間暮の薬箪笥に手を掛ける、とカチカチと鳴る環とともに、額の抜上った首を振りつつ大な眼鏡越にじろりと見る。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
――青膨れの、額の抜上つたのを視ると、南無三|宝、眉毛がない、……はまだ仔細ない。
— 泉鏡太郎 『銀鼎』 青空文庫
一体少し師匠は額の処が抜上って居る性で、毛が薄い上に鬢が腫上っているのだから、実に芝居で致す累とかお岩とか云うような顔付でございます。
— 三遊亭圓朝 『真景累ヶ淵』 青空文庫
鼻筋の通った円顔は白粉焼がしているが、結立の島田の生際もまだ抜上ってはいない。
— 永井荷風 『※東綺譚』 青空文庫
輪郭を取つたら三|角に近い方で、割に額が廣く、加之|拔上ツて、小鼻まわりに些と目に付く位に雀斑がある。
— 三島霜川 『平民の娘』 青空文庫