横倒れ
よこだおれ
名詞
標準
文例 · 用例
なぞと取留めもなく思い乱れて、凝とその大吉を瞻めていると、次第次第に挿画の殿上人に髯が生えて、たちまち尻尾のように足を投げ出したと思うと、横倒れに、小町の膝へ凭れかかって、でれでれと溶けた顔が、河野英吉に、寸分違わぬ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
沖の漁火を袖に呼んで、胸毛がじりじりに仰天し、やあ、コン畜生、火の車め、まだ疾え、と鬼と組んだ横倒れ、転廻って揉消して、生命に別条はなかった。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
目から蝋燭の涙を垂らして、鼻へ伝わらせて、口へ垂らすと、せいせい肩で呼吸をする内に、ぶるぶると五体を震わす、と思うとね、横倒れになったんだ。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
」 この方は、袖よじれに横倒れで、鉄張りの煙管を持った手を投出したまま、吸殻を忘れたらしい、畳に焼焦――最も紳士の恥ずべきこと――を拵えながら、うとうとしていた。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
軈て又例の木の丸太を渡るのぢやが、前刻もいつた通草のなかに横倒れになつて居る、木地が恁う丁度鱗のやうで譬にも能くいふが松の木は蝮に似て居るで。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
ただそのままでは根から崩れて、海の方へ横倒れにならねばならぬ。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
」 赫となった赤熊が、握拳を被ると斉しく、かんてらが飛んで、真暗に桜草が転げて覆ると、続いて、両手で頬を抱えて、爺さんは横倒れ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
露地の出口の溝の中、さして深くもない中に、横倒れに陥って死んでいたのは茶缶婆で、胸に突疵がある。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫