手の物
てのもの
名詞
標準
文例 · 用例
下甲板の新嘉坡へ行く印度の行商人相手の物売りが上陸してしまうと汽笛が垂直に空から落下傘となって人々のうえに舞いおりる。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
やはり同じ町内の酒屋の下女で、今年二十一になるお伝というのが、裏手の物置へ何か取り出しにゆくと、やがてきゃっという声をあげて倒れた。
— 鬼娘 『半七捕物帳』 青空文庫
然るに多くの人は、相手の物そのものが口も利かなければ抵抗もせぬものであるまゝに、勝手にこれに接して、自ら非なりとせぬのが常である。
— 幸田露伴 『些細なやうで重大な事』 青空文庫
テレビカナタイプの本体は、これまでマイクロコンピューターのシステムを何度も設計してきた松本にとっては、お手の物だった。
— 富田倫生 『パソコン創世記』 青空文庫
ところがコンピューターにとっては、長い文章の中から指定した言葉を探してくる検索はお手の物だ。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
母は手の物を置いて、眼鏡越しに省作の顔を視つめながら、「そらまあ……」 驚いた母はすぐにあとのことばが出ぬらしい。
— 伊藤左千夫 『春の潮』 青空文庫
手古奈は命令されたかの如く、手の物を置いた。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
牛の扱いはお手の物だったから、ルーシィはうろたえなかった。
— A STUDY IN SCARLET 『緋のエチュード』 青空文庫