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背光

はいこう
名詞
1
標準
文例 · 用例
一歩境内に踏みいると、乱雑なる町家から仕切られて、吉野山の杉林を見るような、幽邃なる杉並木が、富士の女神にさす背光を、支持する大柱であるかの如く、大鳥居まで直線の路をはさんで、森厳に行列している。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
陽が西に沈むにつれ山は裾から濃紫に染め上って行く、華やかにも寂しい背光に、みるみる山は張りを弛めて、黒ずみ眠って行く。
岡本かの子 富士 青空文庫
もし、多くの場合にこれが事実であるとすれば、それはこの動物の背光性 negative phototropism によって説明されるであろう。
寺田寅彦 柿の種 青空文庫
そして、ついに成功した実験といえば、なさけないことに、たったこの二つだけの動物意識で――つまり多Tとか長短とかいうような種々な迷路を作って、高麗鼠にその中を通過させる――ものと、もう一つは蛞蝓以外にはない背光性――。
小栗虫太郎 白蟻 青空文庫
そして、ついに成功した実験といえば、なさけないことに、たったこの二つだけの動物意識で――つまり|多Tとか長短とかいうような種々な迷路を作って、高麗鼠にその中を通過させる――ものと、もう一つは蛞蝓以外にはない背光性――。
小栗虫太郎 白蟻 青空文庫
皆が皆背光性の虫か長い魚の様でした。
松永延造 職工と微笑 青空文庫
ぱッと甲板に打ち上った波は背光を受けたコルシカの岩より高く裂け散って、人家も見えず、左方に長く連った峨峨とした灰藍色のサルジニアが見る間に夕日の色とともに変っていった。
横光利一 旅愁 青空文庫
自分の成功は、世間への華々しい出現は、同時に彼の重宝である美の信子を、一層燦然と輝やかせることであり、彼女の輝きは、同時に翻って、彼の至上の背光となるのである。
宮本百合子 渋谷家の始祖 青空文庫