帯的
おびてき
名詞
標準
文例 · 用例
淡い甘さの澱粉質の匂ひに、松脂と蘭花を混ぜたやうな熱帯的な芳香が私の鼻をうつた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
あらゆる付帯的気象条件がちがい従って人間の感受性に対するその作用は全然別物ではないかと思われるのである。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
此処では、熱帯的のものも温帯的のものも共に美しく見えない。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
熱帯的な美を有つはずのものも此処では温帯文明的な去勢を受けて萎びているし、温帯的な美を有つべきはずのものも熱帯的風土自然(殊にその陽光の強さ)の下に、不均合な弱々しさを呈するに過ぎない。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
今まで曇っていた空から陽が洩れ始め、島は急に熱帯的な相貌を帯びて来た。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
あの七色――それはボードレールによれば、熱帯的な狂熱的な美しさとなり、またチャイルドが詠うと、それから、旧教主義の荘重な魂の熱望が生れてくるのだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
聖書と関係の薄い余にさえ、檜扇を熱帯的に派出に仕立てたような唐菖蒲は、深い沈んだ趣を表わすにはあまり強過ぎるとしか思われなかった。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
怒は憎みの直接の原因となることができるのに反し、憎みはただ附帯的にしか怒の原因となることができぬ。
— 三木清 『人生論ノート』 青空文庫