時風
じふう
名詞
標準
文例 · 用例
時時風を交へて降りまさる雨のしぶきの中、文壇藝苑の華やかな顏の往き來を前にして、不遜にもこのお辭儀役達必ずしも神妙に控へてもゐなかつたが、とにかく役目を濟まし、最後の燒香を終へてホツと一息吐いた。
— 南部修太郎 『日曜日から日曜日まで』 青空文庫
その時風がざあっと吹いて来て土手の草はざわざわ波になり、運動場のまん中でさあっと塵があがり、それが玄関の前まで行くと、きりきりとまわって小さなつむじ風になって、黄いろな塵は瓶をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。
— 宮沢賢治 『風の又三郎』 青空文庫
雲のへりがまるで虹で飾ったようだ」 西の方の遠くの空でさっきまで一生けん命啼いていたひばりがこの時風に流されて羽を変にかしげながら二人のそばに降りて来たのでした。
— 宮沢賢治 『おきなぐさ』 青空文庫
その時風がザァッとやって来ました。
— 宮沢賢治 『ひのきとひなげし』 青空文庫
中天高く聳えて居る氷川の森はこの時風に吹かれて物すごく鳴つて居ました、少し離れてこれを望むと真黒な小山のやうな輪画を半空に描いて居ます。
— 國木田獨歩 『夜の赤坂』 青空文庫
又氏郷が或時に古い古い油を運ぶ竹筒を見て、其の器を面白いと感じ、それを花生にして水仙の花を生け、これも当時風雅を以て鳴って居た古田織部に与えたという談が伝わっている。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
そしてそれから風呂に行つた――その時風呂に持つて行くのは危險だと考へたことも思ひ出せる。
— 水野仙子 『女』 青空文庫
・山に霧が、さびしがらせる霧が山に 追加一句・日向ぽかぽかと歯がへやさんが歯がへしてゐる 四月九日まだ降つてゐる、書入れの日曜日が台なしになつて困つた人が多からう、まことに花時風雨多しである。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫