焼野
やけの
名詞
標準
文例 · 用例
茲では只、茫漠たる焼野に建物が建つたためには、人知れぬ努力があつたのだし、ジイドのあの反省的で堅忍な調子を想起され度、芸術の容易でない時代に生れ、その時代を生きたのであることを云へばよいのである。
— 中原中也 『アンドレ・ジイド管見』 青空文庫
峰の茶屋から先の浅間東北麓の焼野の眺めは壮大である。
— 寺田寅彦 『浅間山麓より』 青空文庫
一面の焼野原、市松の浴衣着た女が、たったひとり、疲れてしゃがんでいた。
— 太宰治 『ア、秋』 青空文庫
病気がなおって病院を出たら、私は焼野原にひとりぽつんと立っていた。
— ――ひそひそ聞える。なんだか聞える。 『鴎』 青空文庫
だんだん投書も少くなるし、内地の現代向の人に代えろと始終、編輯主任に攻撃されもしますが、なに、これだけは死ぬまで人にはやらせない積りです」 日盛りの中での日盛りになったらしく、戸外の風物は灼熱極まって白燼化した灰色の焼野原に見える。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
雀子はちゆちゆとさへづり、子を思ふ焼野の雉子けんけんと夜も高音うつ。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
鳥の啼くこゑかおかおと啼くは鴉、ぴよぴよと啼くは雛鶏、雀子はちゆちゆとさへづり、子を思ふ焼野の雉子、けんけんと夜も高音うつ。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
このあたりの山はよい、原もよい、火山型の、歪んだやうな荒涼とした姿である、焼野焼山といつた感じだ。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫