幻辞.com

漂蕩

ひょうとう
形容動詞
1
標準
文例 · 用例
漂蕩する趣して、高く低く奥の方深く行く。
泉鏡花 海神別荘 青空文庫
見渡す限り雲煙渺茫たる大空に漂蕩して、西も、東も定めなき今、何時大陸に達して、何時橄欖島に赴き得べしといふ目的もなければ、其内に豫定の廿五|日も去つたならば、櫻木大佐も終には覺悟を定めて、稀世の海底戰鬪艇と共に、海の藻屑と消えてしまう事であらう。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
今吾等は、重大の使命を帶びながら、何時大陸へ着くといふ目的も無く、此儘に空中に漂蕩して居つて、其間に空しく豫定の期日を經※してしまつた事ならば、後悔臍を噛むとも及ぶまい。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
』と叫びつゝ、頭を廻らすと、此端艇を去ること程遠からぬ洋上には、先刻の白色巡洋艦は小山の如き浪に漂蕩しつゝ、其後檣縱帆架と船尾とには、旭輝く大日本帝國の軍艦旗は翩飜と南風に飜つて居つた。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
自分が濡鼠の樣になつて居る事も、少なからず潮水を飮んで腹が苦しくなつて居る事も忘れて、胸は驚と悦に、跳りつゝ、眤と眺むる前方の海上、「ガーフ」に懷かしき我が帝國の軍艦旗を飜せるかの白色の巡洋艦は、此邊海底深くして、錨を投ずることも叶はねば、恰も小山の動搖ぐが如く、右に左に漂蕩して居る。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
船頭が辨當を使ふ間、しばらくは船は漂蕩と其の流るゝに任せて、やがて、餉を澄まして、ざぶりと舷に洗ひ状に、割籠に掬むとて掻く水が、船脚よりは長く尾を曳いて、動くもののない江の面に、其船頭は悠然として、片手で艫を繰りはじめながら、片手で其の水を飮む時、白鷺の一羽が舞ひながら下りて、舳に留まつたのである。
泉鏡太郎 麻を刈る 青空文庫
的無くして舟を行れば、舟は漂蕩して其の達するところを知らざることとなる。
幸田露伴 努力論 青空文庫
無境漂蕩定まり無きを云ふ歟、或は曰く、京に在つて夢みる時は却て大阪を夢むといふの意にして、夢魂多くは異境に飛び旧時に還るを云へるなりと。
幸田露伴 東西伊呂波短歌評釈 青空文庫
漂蕩(ひょうとう) — 幻辞.com