曼珠
曼珠
名詞
標準
文例 · 用例
前号『曼珠沙華』などはそれである。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
もう永遠に帰らないことを思つて 酷白な嘆息するのも幾たびであらう……私の青春はもはや堅い血管となり、 その中を曼珠沙華と夕陽とがゆきすぎる。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
極性な朱でござったろう、ぶちまけた甕充満のが、時ならぬ曼珠沙華が咲いたように、山際に燃えていて、五月雨になって消えましたとな。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
崖のくずれを雑樹また藪の中に、月夜の骸骨のように朽乱れた古卒堵婆のあちこちに、燃えつつ曼珠沙華が咲残ったのであった。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
」 時に青空に霧をかけた釣鐘が、たちまち黒く頭上を蔽うて、破納屋の石臼も眼が窪み口が欠けて髑髏のように見え、曼珠沙華も鬼火に燃えて、四辺が真暗になったのは、眩く心地がしたからである。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
」 と扇子の要で、軽く払うにつれて、弱腰に敷くこぼれ松葉は、日に紅く曼珠沙華の幻を描く時、打重ねた袖の、いずれ綿薄ければ、男の絣も、落葉に透くまで、薄の簪は静である。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
曼珠沙華ひら/\と、其の左右に燃えたるを、あれは狐か、と見し夜戻りの山法師。
— 泉鏡太郎 『婦人十一題』 青空文庫
まばゆい、曼珠沙華のような極光の倒影。
— 遊魂境 『人外魔境』 青空文庫