人跡
じんせき異読 ひとあと
名詞
標準
signs of human habitation
文例 · 用例
人跡絶えた山道には、人力車の通う術もなかったので、二人の若い男女は、互に助け合いながら、蔦葛の這う細道を、幾時間となくさまよい歩いた。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
「人間」という言葉によって、それが如何にも物珍しく、人跡全く絶えた山中であり、稀れに鳴く鶯のみが、四辺の静寂を破っていることを表象している。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
ほとんど人跡未到な山の中の道のない所に道を求めあらゆる危険を冒しても一本の線にも偽りを描かないようにというその科学的|日本魂のおかげであの信用できる地形図が仕上がるのである。
— 寺田寅彦 『地図をながめて』 青空文庫
測量部員が真に人跡未到と思われる深山を歩いていたらさび朽ちた一本の錫杖を見つけたという話もあるそうである。
— 寺田寅彦 『地図をながめて』 青空文庫
自分がかつて北海道の深林で時雨に逢ったことがある、これはまた人跡絶無の大森林であるからその趣はさらに深いが、その代り、武蔵野の時雨のさらに人なつかしく、私語くがごとき趣はない。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
高遠なる蒼天の、何の声もなく唯だ黙して下界を視下す時、曾て人跡を許さゞりし深林の奥深き処、一片の木の葉の朽ちて風なきに落つる時、自然は欠伸して曰く「あゝ我一日も暮れんとす」と、而して人間の一千年は此刹那に飛びゆくのである。
— 國木田独歩 『空知川の岸辺』 青空文庫
書いたものには、ただ北国の高山で、人跡の到らない処に在るというんだから、昔はまあ、仙人か神様ばかり眺めるものだと思った位だろうよ。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
いずこともなく、天|麗かに晴れて、黄昏か、朝か、気|清しくして、仲秋のごとく澄渡った空に、日も月の形も見えない、たとえば深山にして人跡の絶えたる処と思うに、東西も分かず一筋およそ十四五町の間、雪のごとく、霞のごとく敷詰めた白い花。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
作例 · 標準
山奥深く分け入ると、人跡のない静寂な森が広がっていた。
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この島は、ほとんど人跡がない自然の宝庫だ。
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調査隊は、これまで人跡のなかった場所で新種の植物を発見した。
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