脂薬
あぶらぐすり
名詞
標準
文例 · 用例
印籠の口を開けて、丸薬を出して「気付」 と、父の掌へあけて置いて、足の疵所へ、脂薬を布と共に当てて繃帯した。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
「これこそ南蛮渡来の油薬、とくとごろうじませい」 叫びつつ火打ち石取り出して、五体かまわずに切り火を散らし放ったかと見えるや、全身たちまちぱっと火炎に包まれました。
— 献上博多人形 『右門捕物帖』 青空文庫
青眼先生は仕方なしに、薬籠の中から油薬を出して、繃帯一面に浸ませて、こうやっておけば直に痛くないように繃帯が取れるであろう。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
膿を拭ひ終れば、油薬を塗り、脱脂綿を掩ひ、その上に油紙を掩ひ、またその上にただの綿を掩ひ、その上をまた清潔なる木綿の繃帯にて掩ひ、それにて事済むなり。
— 正岡子規 『明治卅三年十月十五日記事』 青空文庫
足のふみ場もなくころがっているのはおおかた疎開家屋の跡片付に出ていた女学校の下級生だが、顔から全身へかけての火傷や、赤チン、凝血、油薬、繃帯などのために汚穢な変貌をしてもの乞の老婆の群のよう。
— 峠三吉 『原爆詩集』 青空文庫
その晩に父はどろどろした油薬のやうなものを拵へて来て塗つて呉れた。
— 斎藤茂吉 『念珠集』 青空文庫
そこへまた油薬のやうなものを塗つて呉れた。
— 斎藤茂吉 『念珠集』 青空文庫
油薬のやうなどろどろしたものであつたが、その薬の色やなんかはどうしてもおもひ起すことが出来ない。
— 斎藤茂吉 『念珠集』 青空文庫