男帯
おとこおび
名詞
標準
obi for men's use
文例 · 用例
お末が単衣の上に羽織を着て、メレンスの結び下げの男帯の代りに、後ろの見えないのを幸ひに一とまはりしかない短い女帯をしめるやうになつた頃から、不景気不景気と云ふ声がうるさい程聞こえ出した。
— 有島武郎 『お末の死』 青空文庫
中は八畳に寝床を二ツ、くくり枕の傍には、盆の上に薬の瓶、左の隅に衣桁があって、ここに博多の男帯、黒|縮緬の女羽織、金茶色の肩掛など、中にも江戸|褄の二枚小袖、藤色に裳を曳いて、襲ねたままの脇開を、夜目にも燃ゆる襦袢の袖、裙にもちらめく紅梅に、ちらりと白足袋が脱いであり。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
江崎とみ、と女名前、何でも持って来いという意気|造だけれども、この門札は、さる類の者の看板ではない、とみというのは方違いの北の廓、京町とやらのさる楼に、博多の男帯を後から廻して、前で挟んで、ちょこなんと坐って抜衣紋で、客の懐中を上目で見るいわゆる新造なるもので。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
彼はいま懐中から手帳を取出して、歩きながら書いてある事柄を調べ始めた、手帳には『お召羽織二十歳位花模様』『男帯綴織風のもの』『三十五六歳向ショール茶色』『上等ウヰスキイ三本贈答用』などと書かれてあつた。
— 小説 『小熊秀雄全集−15−』 青空文庫
その時にある人が板のような厚い博多織の男帯を持って来まして、これは今|上方から博多に来ている力士の帯で、わざわざ博多へ注文して織らせて上方で仕立てさしたものだけれど、何だか結び目が工合が悪くて気に入らないから、又仕立て直さしたけれども矢張りいけない。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
彼女は荒い柄のお召のドテラに浴衣を重ね、博多の男帯をくるくると巻きつけ、髪は楽屋|銀杏にひっつめていた。
— 長谷川時雨 『マダム貞奴』 青空文庫
吉里は髪を櫛巻きにし、お熊の半天を被ッて、赤味走ッたがす糸織に繻子の半襟を掛けた綿入れに、緋の唐縮緬の新らしからぬ長襦袢を重ね、山の入ッた紺博多の男帯を巻いていた。
— 広津柳浪 『今戸心中』 青空文庫
帯の巾は男帯より少し広いので五、六寸位と思います。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
作例 · 標準
例句