駆入
かけるいり
名詞
標準
文例 · 用例
やっぱり奥へ行けばいいのでしたわね」 春部は身を翻して奥へ駆入ろうとする。
— 海野十三 『千早館の迷路』 青空文庫
さるに今|其方が、徒らに猛り狂ふて、金眸が洞に駆入り、他と雌雄を争ふて、万一誤つて其方負けなば、当の仇敵の狐も殺さず、その身は虎の餌とならん。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
義経は、浜辺で一息入れていたが、伊勢三郎義盛を呼びつけて、「あの軍勢のうちに、適当と思う男がいたら、一人連れて参れ、一寸聞きたいことがあるのじゃ」 義盛は、唯一騎で、百騎の中に駆入ったかと思うと、何と言い含めたものか、四十近い黒皮縅の鎧を着た男を連れて帰って来た。
— 第十一巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
お百合、いきを切って、褄もはらはらと遁げ帰り、小家の内に駈入り、隠る。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
先んぜられたり、心外、と二人も駈入りて手痛く戦う。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
中にも氏郷が小小姓名古屋山三郎、生年十五歳、天下に名を得た若者だったが、白綾に紅裏打ったる鎧下、色々糸縅の鎧、小梨打の冑、猩々緋の陣羽織して、手鑓提げ、城内に駈入り鑓を合せ、目覚ましく働きて好き首を取ったのは、猛きばかりが生命の武者共にも嘆賞の眼を見張らさせた。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
彼は戟を取直すと、ふたたび乱軍の中に駈入った。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
(内に駈入りて、桂を見て又おどろく)やあ、こゝにも手負が……。
— 岡本綺堂 『修禪寺物語』 青空文庫