登降
とうこう
名詞
標準
文例 · 用例
登降はあまり便利でない。
— 岡本綺堂 『磯部の若葉』 青空文庫
故に日数の都合で降雪中の登降を試みるなら、雪の降り始めに行うべきで、決して降雪の止む頃に敢行してはならない。
— 加藤文太郎 『単独行』 青空文庫
登降の少ない極めて緩傾斜の尾根の上を二十町も下ると尾根の分岐点に出た。
— 木暮理太郎 『奥秩父の山旅日記』 青空文庫
頂上から真北にすぐ栂の深森を下ると、道は山稜の北側を搦んで、急な空渓の上端を幾つか横切りつつ、魚の小骨のような尾根を越えて、余り激しい登降もなく、北へ北へと三人を引張って行く。
— 木暮理太郎 『奥秩父の山旅日記』 青空文庫
しかし此四日間一日として雪渓の登降を欠かさなかった練習の効果は漸く顕れて来た、面白いように駆けられる。
— 木暮理太郎 『黒部川奥の山旅』 青空文庫
此裂目はいつも七月下旬になると深く全渓を横断して顕われる為に、少なからず登降を阻碍するそうであるが、今年は雪が多いのだと長次郎が説明する。
— 木暮理太郎 『黒部川奥の山旅』 青空文庫
雪渓にかかってからは、傾斜の急な左右の山裾が迫り合って、横を搦むことは殆んど不可能に近いが、雪は割合になだらかである為に、初めての人でもカンジキなしで危険の虞なしに登降される。
— 木暮理太郎 『針木峠の林道』 青空文庫
信州側はといえば、これは敢て此山脈に限らず、日本アルプスを通じての特色である如く、此処でも二百米近くも削立した峭壁で、鹿島槍側に在りては其縁に沿うて登降することは絶対に不可能であるが、五竜側は横を搦めば窓の底に達し得る一縷の望がないでもない。
— 木暮理太郎 『八ヶ峰の断裂』 青空文庫