夕霞
ゆうがすみ
名詞
標準
evening breeze
文例 · 用例
鯱と鯨の中へ、芝海老の如く、呑まれぬばかりに割込んで、一つ吻と呼吸をついて、橋場、今戸の朝煙、賤ヶ|伏屋の夕霞、と煙を眺めて、ほつねんと煙草を喫む。
— 泉鏡太郎 『大阪まで』 青空文庫
」 鉄砲に自信を持つ正吉(大学生であるが通学を嫌つて何時も私達の後を伴いて回つてゐる弟)が、既に夕霞みが低く垂込めて灰色に煙つてゐる彼方の森を指差して、負け惜みを云つた。
— 牧野信一 『川を遡りて』 青空文庫
」 彼は元気よくこう答えると、もう若者には用がないと云ったように、夕霞のたなびいた春の河原を元来た方へ歩き出した。
— 芥川龍之介 『素戔嗚尊』 青空文庫
漸く起上って膝に付いた泥を払い、大小の抜けかゝったのを揺り上げ、松の根株へ片足を掛け、小左衞門が落入ったかと見おろしましたが、夕霞が深く立ってはッきり見分りませんから、彼の侍が鐘ヶ淵の水面を覗き込む、途端に安国山総寧寺の夕勤めの鐘の音が、微かにコーン/\と聞えました。
— 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分) 『粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)』 青空文庫
よその高峯の夕霞何にまがへてたどりけん羅綾のしとね引換へて今は緑の苔むしろ水とこしへに流去り花いつしかと散りぬれば夢か昨日の春の世も。
— 土井晩翠 『天地有情』 青空文庫
「高峰の花に誘はれて分け來し袖も薫りけむ、紅埋む夕霞緑糸よる玉柳深山の奧に君を見れば武陵の里もこゝなりき。
— 土井晩翠 『天地有情』 青空文庫
蘆の枯葉蘆の枯茎蘆の枯穂ももろともにそよげる中の水たまり短き日あし傾きて早や立ちこむる夕霞遠き眺のけぶれるに水のたまりに黄昏の名残の空のたゞよへる鏡のおもに星一ツ宵の明星唯一ツ影あざやかに輝きぬ。
— 永井荷風 『枯葉の記』 青空文庫
蘆の枯葉蘆の枯茎蘆の枯穂ももろともにそよげる中の水たまり短き日あし傾きて早や立ちこむる夕霞遠き眺のけぶれるに水のたまりに黄昏の名残の空のたゞよへる鏡のおもに星一ツ宵の明星|唯一ツ影あざやかに輝きぬ。
— 永井荷風 『枯葉の記』 青空文庫
作例 · 標準
夕日が沈む頃、空には美しい夕霞が広がり、幻想的な景色を作り出した。
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山の稜線にたなびく夕霞が、一日の終わりを告げていた。
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窓の外を見ると、あたり一面に夕霞がかかり、街がぼんやりと霞んでいた。
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