梳る
くしけずる異読 けずる
動詞-五段-ラ行動詞-他動詞
標準
to comb
文例 · 用例
五十くらいの田舎女の櫛取り出して頻りに髪|梳るをどちらまでと問えば「京まで行くのでがんす。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
翼のように、舌のように、逆に梳る女頭のように、火は焔になり、焔は幾条の筋をよって濛々とした黒煙に交り、森から前後左右に吐き出された。
— 岡本かの子 『窓』 青空文庫
ここで梳る柳の髪は長かろう、その姿見の丈が高い。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
たとへば神田の五軒町あたりは、広い道の両側に柳の並木、日にきらめける鉄条の上をけたたましい電車の嵐、と思つて一寸道傍の店先を覗くと赤く汚れた温い硝子戸を越してお七、吉三の古い錦絵、その隣を乳房をあらはに髪を梳る女、銘は何れも歌麿筆としてある。
— 木下杢太郎 『市街を散歩する人の心持』 青空文庫
)また、青ざめし羽目板の安料理屋の※の内、ただ力なく、女は頸かたむけて髪|梳る。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
わたしをめぐる悲しい時計のうれしい針、奇蹟がわたしのやはらかな髮を梳る。
— 山村暮鳥 『聖三稜玻璃』 青空文庫
時に鏘々として響くのはこの音で、女神が梳ると、また更めて、人に聞いた――それに、この像には、起居がある。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
……鳶尾根末、亜鉛華、麝香草、羊脂、魚膠、雷丸油、疱瘡で死んだ嬰児の脳漿、それを練り合わせた塗抹剤……お着けすることに致しましょう」 髪を梳る音がした。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫