絶々
絶々
名詞
標準
文例 · 用例
――(いや、ますます降るわえ、奇絶々々。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
雲か、靄か、綿で包んだやうに凡そ三抱ばかりあらうと思ふ丸柱が、白く真中にぬつく、と立つ、……と一目見れば、其の柱の根に一人悄然と立つた婦の姿……『お浦……』と膝を支いて、摺寄つて緊乎と抱いて、言ふだけの事を呼吸も絶々に我を忘れて※舌つた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
そうするとね、新らしく土を掘りかえした処があッて、掻寄せたあとが小高くなッてて、その上へ大きな石が乗ッけてあって、そこまで小銀が辿って行くと、一条細うく絶々に続いていた胡麻のあとが無くなっていたでしょう。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
かくして少年ははた掌を拍って塵を払ったが、吐息を吐いて、さすがに心|弛み、力落ちて、よろよろと僵れようとして、息も絶々なお雪を見て、眉を顰めて、「ちょッ、しようのねえ女だな。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
……桜の枝に掛つて、射貫れたとともに、白妙は胸を痛めて、どつと……息も絶々の床に着いた。
— 泉鏡花 『妖魔の辻占』 青空文庫
今朝東京なる本郷病院へ、呼吸も絶々に駈込みて、玄関に着くとそのまま、打倒れて絶息したる男あり。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
十三 走馬燈 無慙やなお藤は呼吸も絶々に、紅顔蒼白く変りつつ、苛責の苦痛に堪えざりけん、「ひい、殺して下さい殺して。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
声立てさせじと飛蒐りて、お録の咽喉を絞め上げ絞め上げ、老婆が呼吸も絶々に手を合して拝むを見澄まし、さらば生命を許さむあいだ、お藤を閉込め置く処へ、案内せよ、と前に立たせ、例の人形室に赴きて、その仕懸の巧みなるに舌を巻きて驚歎せり。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫