技癢
ぎよう
名詞
標準
itching to show off one's abilities
文例 · 用例
けれども、また大隅君にとっては、この五年振りで逢った東京の友人が、相変らず迂愚な、のほほん顔をしているのを見て、いたたままらぬ技癢でも感ずるのであろうか、さかんに私たちの生活態度をののしるのだ。
— 太宰治 『佳日』 青空文庫
某はこれ等の事を見聞候につけ、いかにも羨ましく技癢に堪えず候えども、江戸詰御留守居の御用残りおり、他人には始末相成りがたく、空しく月日の立つに任せ候。
— 森鴎外 『興津弥五右衛門の遺書』 青空文庫
技癢に堪へざる我心をも覺らず、かの翁は永々しき謝恩の演説をぞ始めける。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
そして技癢を感じた。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
金井君はこの流義の作品を見たときは、格別技癢をば感じなかった。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
その頃料らずも外山正一氏の畫論を讀みて、我懷けるところに衝突せるを覺え、遂に技癢にえ禁へずして反駁の文を草しつ。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
が、やがて技癢に堪え兼ねたのか、自分も水だらけな袖をまくると、幅の広い肩を聳かせて、まるで洞穴を出る熊のように、のそのそとその連中の中へはいって行った。
— 芥川龍之介 『素戔嗚尊』 青空文庫
いわば剛の者が、戦陣の前に当って武者ぶるいを禁ずることができないように、いやしくも、興行物となってみれば、大きければ大きいように、小さければ小さいように、都会ならば都会のように、田舎ならば田舎のように、技癢に堪えられないで、その物音を聞くと武者ぶるいをするところの病があるのです。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫