溶け入る
とけいる
動詞
標準
文例 · 用例
思想は一つの意匠であるか鬱蒼としげつた森林の樹木のかげでひとつの思想を歩ませながら佛は蒼明の自然を感じたどんな瞑想をもいきいきとさせどんな涅槃にも溶け入るやうなそんな美しい月夜をみた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
どんな瞑想をもいきいきとさせどんな涅槃にも溶け入るやうなそんな美しい月夜をみた。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
けれどもです、自然の和みのなかに溶け入る黄金の針のやうに微動し戦慄する感受性を開花させないならば、人工香料の平面的な、固定的な、直線的な表情でも、十分に酔ふことが出来るかもしれない。
— ――漫談的無駄話―― 『「香水の表情」に就いて』 青空文庫
彼方は蜒々雲に溶け入る抗愛山脈。
— ――市川猿之助氏のために―― 『若き日の成吉思汗』 青空文庫
僕は何ごとかを念じることによって、忽ちそのなかに溶け入ることが出来るのではないかとおもった。
— 原民喜 『夢と人生』 青空文庫
ひたと我下にある大地ああ、よい 初夏よ私は 母の懐 野天に帰り心安らかに生命の滋液を吸う胡坐を組み只管イスラエルの民のように父なる天に溶け入るのだ。
— 宮本百合子 『五月の空』 青空文庫
忽、二上山の山の端に溶け入るやうに消えて、まつくらな空ばかりの、たなびく夜になつて居た。
— 釋迢空 『死者の書』 青空文庫
忽、二上山の山の端に溶け入るやうに消えて、まつくらな空ばかりがたなびいた。
— ――初稿版―― 『死者の書』 青空文庫