恩を売る
おんをうる
表現動詞-五段-ラ行
標準
to demand gratitude
文例 · 用例
私は恩を売る気はもうとうないけれども、少しは私たちにも何か楽しみを与えてくれてもよさそうに思われるのであるが、やはり捨犬はだめなものである。
— ―伊馬鵜平君に与える― 『畜犬談』 青空文庫
日本一のお嬢さんを妾にするたあ何事だ、妾は癪だ、恩人も糸瓜もねえ、弱り目につけ込んで、すけべいの恩を売る奴は、さし込み以上の疫病神だと、怒鳴るでがしょう。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
恩を売るというほどの深い底意はなくとも、師匠の口から礼の一つも言われたさに、彼はわざわざここへ訪ねて来たのであった。
— 岡本綺堂 『廿九日の牡丹餅』 青空文庫
しかし、恩返しにあれを育てたなどというのは、またこつちから恩を売るようなものですから、私自身からは一度も申したことはありません」 10 駿三と私とはなお暫くいろいろな話をしたが、別にとり立てていうべき程のこともなく、午後私は秋川邸を辞して再び藤枝を訪問した。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
のみならず、駿三は僕ばかりにではない、ひろ子達にも伊達の素性をはつきりといつていないぜ」「彼の弁解によれば、恩返しをしているということは、こつちから恩を売ることになるから……」「君はそんな弁解を信じているのか。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
鉄風 そうか、しかし無理には言わないようにしてくれ、恩を売るようにみえると厭だよ。
— 森本薫 『華々しき一族』 青空文庫
横田さんは人に恩を売ることが嫌いな人格者だから、わざと知らない風をして、周平に気持の上の負目を与えまいとしたのだ。
— 豊島与志雄 『反抗』 青空文庫
彼らはこの目的のために問題を起しておいては人を変え、自分の都合のよいような人物をあげて飮む機会を作ったり、友人に恩を売るのだ。
— 清澤洌 『暗黒日記』 青空文庫