渡らい
わたらい
名詞
標準
文例 · 用例
道化の面の男 女の一念だで一本橋を渡らいでかよ。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
かう言ふ人々が、奈良から平安になつても、幾度となく浮浪人の扱ひは受けないで、田舍わたらひをした事と思ふ。
— 呪言と敍事詩と 『國文學の發生(第一稿)』 青空文庫
宗祇・宗長等の作と伝へる沢山の「廻国記」も、西上人の姿を学びながら、檀那場なる武家・土豪の邸々を訪問する一種新様の「田舎わたらひ」の副産物であつたのだ。
— 後期王朝文学史 『女房文学から隠者文学へ』 青空文庫
個人としては「すり」「いかさま師」の様な都会風の悪事から、田舎わたらひをする者は、高野聖一類の詐偽脅嚇の罪を犯して廻つた。
— 折口信夫 『江戸歌舞妓の外輪に沿うて』 青空文庫
ただしはまた今日我々が昔の遊女として考えている女性が、翁の時代にはなお「田舎わたらひ」という生活をしていたのか。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
霰ふる左の山は菅の寺 北枝遊女四五人田舎わたらひ 曾良落書に恋しき君が名もありて 翁 こういう従来比較的問題にされていなかったものの中から、柳田氏は、「田舎わたらひ」をする遊女という取るに足らない一群の人々の生活をとりあげている。
— 中谷宇吉郎 『民族的記憶の名残』 青空文庫