群立ち
むれたち
名詞
標準
文例 · 用例
物寂しく獨り聳えたる塔の尖に水鳥の群立ち來らんを候ひて網を張りたるあり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
」 かたりをはるとき午夜の時計ほがらかに鳴りて、はや舞踏の大休となり、妃はおほとのごもり玉ふべきをりなれば、イイダ姫あわただしく坐を起ちて、こなたへ差しのばしたる右手の指に、わが唇触るるとき、隅の観兵の間に設けたる夕餉に急ぐまらうど、群立ちてここを過ぎぬ。
— 森鴎外 『文づかひ』 青空文庫
が、それとても一瞬で、刀身はまたもや白く輝き、柄で蔽われていた茅野雄の額の、陰影さえ消えて炬のような眼が、眼前数間の彼方に群立ち、刀の切っ先を此方へ差し向け、隙があったら一斉に寄せて、打って取ろうとひしめいている、七人の敵を睨んでいた。
— 国枝史郎 『生死卍巴』 青空文庫
それを合図に八方から、群立ち騒ぐ烏の音、物凄じく聞こえて来た。
— 国枝史郎 『任侠二刀流』 青空文庫
」 声に応じてその時まで、どうなることかと周章狼狽、なすところなく立ち縮んでいた、白須源吾をはじめとし、十数人の意次の家臣ら、一時に群立ち両手を拡げ、意次を中に輪のように囲み、「殿、はしたのうござりまする」「まずお静まりなさりませ」 と、貝十郎との中を駈けへだてた。
— 国枝史郎 『血煙天明陣』 青空文庫
昭和十七年川内幼稚園園歌西の薩摩の城いくつ廻ぐりめぐりて大海へ川内川の出でてゆく姿を下にのぞむ山神代の樟の群立ちの影いと深く清らなる御垣の内を許されて我れ等は学び我れ等は遊ぶ戦の後に大事なは愛の心と人も知る愛の御社の大神よ深き教を垂れ賜ひ大き興亜の御業に我れ等も与らしめ給へ。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集拾遺』 青空文庫
雪渓の最後は巨大な雪塊が群立ち、写真で見る氷河の感を与えて自分たちを喜ばす。
— 小川登喜男 『一ノ倉沢正面の登攀』 青空文庫
あらまし葉を落した山つつじの灰色の幹の群立ちも美しい。
— 中勘助 『島守』 青空文庫