憂苦
ゆうく
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
trouble
文例 · 用例
今電車の窓から日曜の街の人通りをのどかに見下ろしている刻下の心持はただ自分が一通りの義務を果してしまった、この間中からの仕事が一段落をつげたと云うだけの単純な満足が心の底に動いているので、過去の憂苦も行末の心配も吉野紙を距てた絵ぐらいに思われて、ただ何となく寛ろいだ心持になっている。
— 寺田寅彦 『障子の落書』 青空文庫
anger はアイスランドの 〔a&ngr〕 やLの angor などのような「憂苦」を意味する言葉と関係があるそうで、一方ではまたスウェーデンの「悔恨」を意味する 〔a&nger〕 に通ずる。
— 寺田寅彦 『言葉の不思議』 青空文庫
煙草の効能の一つは憂苦を忘れさせ癇癪の虫を殺すにあるであろうが、それには巻煙草よりはやはり煙管の方がよい。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
」 と若山は花屋の奥に端近く端座して、憂苦に窶れ、愁然として肩身が狭い。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
僕らの人生について思惟することはひさしく既に轉變の憂苦をまなんだここには爽快な自然があり風は全景にながれてゐる。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
三十二 もとより自ら進んでも、かくはなるべき運命であったろうけれども、さまでとはさすがに思い懸けなかった、積年の憂苦辛酸、一|日の安き暇もないので、お絹は身も心も疲れ果てて、その一月ばかり前から煩い出し、床に就いて足腰の自由が利かなくなると、夫|狂犬源兵衛は屋外にこれを追出した。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
彼は憂苦のあまりに、この小さい虫にむかって愚痴を言った。
— 捜神記(六朝) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
願う、余の慈父と師友との祈祷空しからずして、この著のさらに世の憂苦を除き去るの一助として存せんことを。
— 内村鑑三 『基督信徒のなぐさめ』 青空文庫
作例 · 標準
予期せぬ困難に、彼女は深い憂懼を抱いた。
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未来への憂懼から、彼はなかなか行動を起こせないでいた。
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その知らせを聞いて、人々は皆、一様に憂懼の表情を浮かべた。
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