淡々しい
あわあわしい
形容詞
標準
文例 · 用例
愛情というものは、そんな淡々しいものではない。
— 泉鏡花 『化銀杏』 青空文庫
輕い、淡々しい雲が沖なる海の上を漂ふて居る、鴎が飛ぶ、浪が碎ける、そら雲が日を隱くした!
— 国木田独歩 『湯ヶ原より』 青空文庫
足元からすこしだらだら下がりになり萱が一面に生え、尾花の末が日に光っている、萱原の先きが畑で、畑の先に背の低い林が一|叢繁り、その林の上に遠い杉の小杜が見え、地平線の上に淡々しい雲が集まっていて雲の色にまがいそうな連山がその間にすこしずつ見える。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
空は蒸暑い雲が湧きいでて、雲の奥に雲が隠れ、雲と雲との間の底に蒼空が現われ、雲の蒼空に接する処は白銀の色とも雪の色とも譬えがたき純白な透明な、それで何となく穏やかな淡々しい色を帯びている、そこで蒼空が一段と奥深く青々と見える。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
手古奈も周圍から受ける自然の刺撃で、淡々しい少女の心にも、近頃覺えた考事を又しても考へない訣にゆかなかつた。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
お銀と磯谷との関係と磯谷の人物とがはっきり解って来れば来るほど、笹村の女に対する好奇心は薄らいで来たが、お銀の胸にもその時々の淡々しい夢はだんだん色が剥げて来た。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
」 お雪は青柳が受け取ったという手紙の、心をこめた美しい文句やら、指環だの髪の道具だのの、青柳の手に渡った持物などから顔も様子もほぼ想像のできるような、その令嬢の淡々しい心持を思い出していた。
— 徳田秋声 『爛』 青空文庫
不思議な誘惑の世界から突然現世に帰った人のように、君の心はまだ夢ごこちで、芸術の世界と現実の世界との淡々しい境界線をたどっているのだ。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫