辺一
へんいち
名詞
標準
文例 · 用例
この辺一体に高台は皆山林でその間の柵が畑になって居る。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
四、五年前、この辺一帯ひどい不作で、精米の依頼もばつたり無くなつて、いや、困つてねえ、毎日毎日、炉傍に坐つて煙草をふかして、いろいろ考へた末、こんな機械を買つて、この工場の隅で、ばつたんばつたんやつてみたのだが、僕は不器用だから、どうしても、うまくいかないんだ。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
この辺一帯の田の、水が枯れた時に、僕は隣村へ水をもらひに行つて、つひに大成功して、大トラ変じて水虎大明神といふ事になつたのです。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
月見草が幻よりは少し明るくその辺一面浮んで咲いてゐる。
— 宮沢賢治 『秋田街道』 青空文庫
この辺一体に藻や蘆の古根が多く、密林の感じである。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
その遺跡も沢山残っていますが、それでもこの辺一帯の天然の風景は、欧州の中で珍しい平和なのんびりしたものです。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
その辺一ぱいにならんだ屋台の青い苹果や葡萄が、アセチレンのあかりできらきら光っていました。
— 宮沢賢治 『祭の晩』 青空文庫
その辺一緒に歩いて下さらない」 耳の附根まで赧くなった。
— 織田作之助 『四月馬鹿』 青空文庫