小端
こば
名詞
標準
文例 · 用例
此珍事のあつた翌日は私は、日出雄少年と唯二人で、長さ卅|呎にも足らぬ小端艇に身を委ねて、水や空なる大海原を浪のまに/\漂つて居るのであつた。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
第九回 大海原の小端艇亞尼の豫言――日出雄少年の夢――印度洋の大潮流――にはか雨――昔の御馳走――巨大な魚群 恐しき一夜は遂に明けた。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
眼界の達する限り煙波渺茫たる印度洋中に、二人の運命を托する此小端艇には、帆も無く、櫂も無く、たゞ浪のまに/\漂つて居るばかりである。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
浪の江丸とは、例の反古新聞に記されて居つた名で、はじめ、大佐の一行を此島へ搭せて來た一大帆前船、あゝ、あの船も、今は何かの理由で、此海岸にあらずなつたかと、私は窓の硝子越しに海面を眺めると、星影淡き波上には、一二|艘淋し氣に泛んで居る小端艇の他には、此大海原を渡るとも見ゆべき一艘の船もなかつた。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
小端艇で漂流中のさま/″\の辛苦。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
そしてしばらくは手紙を開封することもなく、人さし指を立てて机の小端を軽く押えるように続けさまにたたきながら、じっと眼の前の壁を見つめていた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
「それぢや差引四十一|錢三|厘小端か、こつちのおつかさま自分でも商してつから記憶がえゝやな」商人は十露盤を持つて「どうしたえ、鹽梅でも惡いやうだが風邪でも引いたんぢやあんめえ」といつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
「うむ、少し惡くつて仕やうねえのよ」お品はいつて「小端は幾らになんでえ」と更に聞いた。
— 長塚節 『土』 青空文庫