蕁麻
じんま
名詞
標準
文例 · 用例
夢の中でも、私は、強情な植物共の蔓を引張り、蕁麻の棘に悩まされ、シトロンの針に突かれ、蜂には火の様に螫され続ける。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
「ただ、蕁麻に刺されただけですよ、あの亡くなつた祭司長の言ひぐさではないが、この毒蛇みたいな草にね。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
火酒はまるで蕁麻のやうに彼の舌を刺して、苦蓬の汁よりも苦く思はれた。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
夕映が消えて、まだ星も見えず、月もなく、森をとほるに怖い時刻で、樹々に身を擦り小枝を掻き分けながら、洗礼を受けずに死んだ子供たちが、泣いたり笑つたりして、道や広い蕁麻の茂みの中を玉のやうに転がつてゆく。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫
蕁麻の匂、金雀花の匂がして、和蘭陀げんげの匂もして、乳の匂がする。
— 上田敏 『牧羊神』 青空文庫
その頭上には※や槲が、半かけの月光や星の光を、枝葉の隙からわずか零し、野葡萄や木賊や蕁麻や芒で、おどろをなしている地面の諸所へ、銀色の斑紋を織っていた。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
蕁麻の生えた地面は、駈け寄り、引き分れる二頭の馬の蹄の下で、濛々と塵をあげた。
— 宮本百合子 『古き小画』 青空文庫
薄い雲母でも張ったようにむらのない白雲が、空一面|蔓り、その奥から太陽が、平たく活気なく曠野の乾いた土地や蕁麻、灌木の叢を射た。
— 宮本百合子 『古き小画』 青空文庫