螫
螫
名詞
標準
文例 · 用例
次第に喬木の森林に入った、白く光る朽木は、悪草の臭いや、饐えたような地衣の匂いの中に立ち腐れになっている、うっかり手が触れると、海鼠の肌のような滑らかで、悚然とさせる、毒蚋が、人々の肩から上を、空気のように離れずにめぐっている、誰も螫されない人はない、大樺池を直ぐ眼の下に見て、ひた下りに下る。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
(明治四十年十二月三十日『東京朝日新聞』) 五十八 蜂に螫された時 アンモニア水が蜂の針の毒を消す事はよく人の知る処であるが、ある人の経験では、それよりも幾那をアンモニア水に溶かした丁幾が一層有効だそうである。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
刻んだ菜や、水を与えられると、籠の目を透くレモン色の小さい姿が激しく動くのが見え、田舎家の午前の無言の静けさは銀の蚤でも螫すように急に品よく可愛らしくざわめき立ちました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
それで、蛇はひがんで、のたのた這い廻るし、蛙はがあがあ騒ぐのだし、蜂はぶんぶん腹立ちまぎれに螫しに来るし、狼や獅子は、鋭い牙を研ぎ出したのだよ。
— 岡本かの子 『トシオの見たもの』 青空文庫
尾にこんなかぎがあってそれで螫されると死ぬって先生が言ってたよ」「そうよ。
— 宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』 青空文庫
尾にこんなかぎがあってそれで螫されると死ぬって先生が云ったよ。
— 宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』 青空文庫
「蚋が螫す、蚋が螫すわ。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
」「実はどういうんだか、今夜の雪は一片でも身体へ当るたびに、毒虫に螫れるような気がするんです。
— 泉鏡花 『註文帳』 青空文庫