遙
はるか
名詞
標準
文例 · 用例
僕なんかすっかり嫌いになったようだもの」 民子はさすがに女性で、そういうことには僕などより遙に神経が鋭敏になっている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
幽明|遙けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
「さやけく」は「さやか」から出た語で、「明らか」「長閑」「遙か」から出来た「明らけし」「長閑けし」「遙けし」などと同じ種類のものですが、かような「カ」から転じた「ケ」は皆乙類の仮名を用いる例であります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
西洋近来の流行が、一方には裾を短くしてほとんど膝まで出し、他方には肉色の靴下をはいて錯覚の効果を予期しているのに比して、「ちよいと手がるく褄をとり」というのは、遙かに媚態としての繊巧を示している。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
僕等は遙かの丘の向うでひろびろとした自然に住んでるかくれた萬象の密語をきき見えない生き物の動作をかんじた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
そこやかしこの暗い森からまた遙かなる山山の麓の方からさびしい弧燈をめあてとしてむらがりつどへる蛾をみる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
我我の音樂的嗜好は、遙かに「より軟らかい拍節」と「より高調されたる旋律」とを欲してきた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
我我の目的は、それとはもつと遙かに複雜なリズムを彈奏するにある。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫