濃い茶
こいちゃ
名詞
標準
文例 · 用例
」 と主税の方へ挨拶して、微笑みながら、濃い茶に鶴の羽小紋の紋着二枚|袷、藍気鼠の半襟、白茶地に翁格子の博多の丸帯、古代模様空色|縮緬の長襦袢、慎ましやかに、酒井に引添うた風采は、左支えなく頭が下るが、分けてその夜の首尾であるから、主税は丁寧に手を下げて、「御機嫌|宜う、」と会釈をする。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
その癖、若い時から、酒は一滴もいけないのが、おでんで濃い茶に浮かれ出した。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
地を梅鼠がかつた濃い茶にして、其一枝を写し試みた。
— 木下杢太郎 『本の装釘』 青空文庫
実はゆふべ茶を買つてくれと頼んで置いたのだが、こんな苦い濃い茶はいやだ。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
実はゆうべ茶を買ってくれと頼んでおいたのだが、こんな苦い濃い茶はいやだ。
— 夏目漱石 『坊っちゃん』 青空文庫
すると、それから十四五分ばかりして一人の色の黒い、大きな男が、濃い茶色の外套に緑色の帽子を冠って、両手をポケットに突込んだまま、跫音高く階段を上って来た。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
胸のあたりを掻展げて、少許気息を抜いて、軈て濃い茶に乾いた咽喉を霑して居る内に、ポツ/\舟に乗る客が集つて来る。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫
稲穂は種々で、あるものは薄の穂の色に見え、あるものは全く草の色、あるものは紅毛の房を垂れたようであるが、その中で濃い茶褐色のが糯を作った田であることは、私にも見分けがつく。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫