大賊
たいぞく
名詞
標準
文例 · 用例
娘は山賊に捕われた事を、小児心にも知っていたけれども、堅く言付けられて帰ったから、その頃三ヶ国|横行の大賊が、つい私どもの隣の家へ入った時も、何も言わないで黙っていました。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
そして近来五六年はその周囲の山々に一大賊が手下を連れて出没し、方々の町村へ下りては殺人強奪を行ひ警察も手の付け様の無い有様。
— 村山槐多 『殺人行者』 青空文庫
さてはかの噂に聞いたる大賊の首領と云ふのは実は僕の常に慕つて居た昔の義兄弟であつたのか。
— 村山槐多 『殺人行者』 青空文庫
フランスの誰やらの本に、大賊が刑せられる時、人間の一番大切なる秘密を語ろうと云った。
— 森鴎外 『不苦心談』 青空文庫
かれは享保年間に尾州領内をあらし廻った大賊で、その事蹟は諸種の記録にも散見している。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
……噂によれば、身を持ち崩したあげく、恐ろしい大賊になったということだが……三国峠の権という大賊に。
— 国枝史郎 『猿ヶ京片耳伝説』 青空文庫
この「緑林黒白」こそは、日本、支那、朝鮮に輩出した巨盗大賊の伝記であって、行文の妙、考証の厳、新説百出、規模雄大、奇々怪々たる珍書であったが、惜しい事には維新の際、殆ど失われたということである。
— 国枝史郎 『赤格子九郎右衛門』 青空文庫
しかし彼は、今目の前に見る江戸名打ての、大賊のような自他にこだわらず、何時も、悠々として、南山を眺め続けているような、自得の風格に染っている下郎に、会ったことはないのだった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫