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独秀

どくしゅう
名詞
1
標準
文例 · 用例
一九二七年の寒冷なビクトリア港の静かな波間にオランダの汽船が碇泊すると、南方政府の逮捕命令をうけて上海を逃れた陳独秀が船着場に衰えた姿をあらわした。
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米良は空中滑走する、戦い疲れた陳独秀とビクトリア・カップよりセント・ジョウジ・プレースに至る山頂火車のなかで彼等は力なく握手して、空中の鏡の上にモーニング姿の印度人のイサックを発見するのであった。
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工人を指導した陳独秀が、いまでは南京総司令の策略によって彼の首が無産者の弗箱に変わるのであった。
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独秀が稲妻のように舞踊靴の部屋に這入ってくると、彼は米良にボロジン一味が再び南昌から漢口に潜入したことを告げ、彼は嶮しい眼を閉じるとボロジンの南昌入によって新たな時局の転廻となるか、恐らくは最期の瓦解となる二つの道を告げるのであった。
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独秀が呉松路通インタナショナル理髪館で変装して上海の共同租界から各国兵の監視をくぐってオランダ船で逃れた当日は、彼は失業工人の一団を率いて特別戒厳令のなかに潜伏していた。
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こうして数刻を経た後ガロンは共産軍を組織し、陳独秀の率いた工人と苦力の暴民を合して南北の橋路に支那軍隊と衝突して河畔に対峙し遂に市街戦となり、各国の陸戦隊が出動して共産軍は撃退され、一時間後上海は平穏に還った。
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上海に於けるガロン、チルキンス、陳独秀等の赤色テロリズムの敢行によって二十世紀の支那の赤い花が散り落ちた。
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マダム・レムブルグの毛深い部屋でこの陳独秀の悲壮な報告が終って、彼は自己の生涯の最後を南支那海のビイクトリア島においたのであった。
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