覚束無い
おぼつかない
形容詞
標準
文例 · 用例
再び彼の地の役所に戻ることは、到底|覚束無い。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
それでも龍子のいるところでは、覚束無いながらも縫い物の手を動かしていた。
— 矢田津世子 『※女抄録』 青空文庫
それでも其の覚束無い光の下に其の男は万事を取運ぶのであつた。
— 高浜虚子 『落葉降る下にて』 青空文庫
甚だ「頼りない」話だが、それは要するにどうでもいゝので、私が覚えているのは、お婆さんがもう九十いくつかで、ブリキのラウドスピーカーみたいな物を耳に当てゝは、私の喋舌る覚束無い英語を聞いたことゝ、その晩恰もその家に遊びに来ていた、マーガレット何とかいう、隣の家の娘のことである。
— 石川欣一 『山を思う』 青空文庫
掏摸万歳の時で御覧じろ、えて吉、存命は覚束ねえ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
もっとも、かっと開いたところで、富士も筑波も見えるかどうだか、覚束ねえ目だけれどよ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
「親方、御免なせえ」 と暁明の客は、菊之丞に、ちょいと、頭を下げると、「雪さん、あの人は、いのちが覚束ねえ――」 と、ひと言。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
がんりきもここらが年貢の納め時だから、小商売の一つも始め、飯盛上りの女でも連合にして、これからは温和しく暮して行きてえものだと思わねえこともねえが、天道様がそうは卸してくれめえから、とてものことにまた逆戻りで、畳の上の往生は覚束ねえだろう。
— 女子と小人の巻 『大菩薩峠』 青空文庫