草の庵
くさのいおり
名詞
標準
文例 · 用例
凧のかげ夕方かけて読書かな夕立やかみなり走る隣ぐに沓かけや秋日にのびる馬の顔鯛の骨たたみにひらふ夜寒かな秋ふかき時計きざめり草の庵石垣に冬すみれ匂ひ別れけり 彼の俳句の風貌は、彼の人物と同じく粗剛で、田舎の手織木綿のやうに、極めて手触りがあらくゴツゴツしてゐる。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
「昔思ふ草の庵の夜の雨に涙なそへそ山ほととぎす」これは「盧山雨声草庵中」といふ句のある白楽天の漢詩を日本風に訳したものだと言ふ。
— 萩原朔太郎 『詩の翻訳について』 青空文庫
一方は下賤から身を起して、人品あがらず、それこそ猿面の痩せた小男で、学問も何も無くて、そのくせ豪放|絢爛たる建築美術を興して桃山時代の栄華を現出させた人だが、一方はかなり裕福の家から出て、かっぷくも堂々たる美丈夫で、学問も充分、そのひとが草の庵のわびの世界で対抗したのだから面白いのだよ。
— 太宰治 『庭』 青空文庫
いかに、草の庵とはいへ、まあ、結構な身分と申さざるを得ないであらう。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
で、亞尼は、今は、眞如の月影清き、ウルピノ山中の草の庵に、罪もけがれもなく、此世を送つて居る事でせうが、あの惡むべき息子の海賊は、矢張印度洋の浪を枕に、不義非道の業を逞しうして居る事でせう。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
薫は、「いかならん世にか枯れせん長き世の契り結べる草の庵は 御所の相撲などということも済みまして、時間のできますのを待ちましてまた伺いましょう」 などと言っていた。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
蕭条たる草の庵の門には梅阿弥の標札が掛かっていた。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
ここに草の庵を結んで、謀叛人と呼ばれた父の菩提を弔いながら、往き来の旅人に甘酒を施していた。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫