水の手
みずのて
名詞
標準
文例 · 用例
水の手にも涼しいほど、しっとり花が濡れましたよ。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
そのつもりで、――千破矢の雨滴という用意は無い――水の手の燗徳利も宵からは傾けず。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
ところで、事件の開幕に当って、筆者は法水の手許に集められている、黒死館についての驚くべき調査資料のことを記さねばならない。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
間もなく、二人の姿が再び現われて、法水の手に一葉の大型封筒が握られていた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
ついに、黒死館事件の循環論の一隅が破られ、その鎖の輪の中で、法水の手がファウスト博士の心臓を握りしめてしまった――ああ閉幕。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そのとたん、法水の手が差し伸べられて、屍体蝋燭を一つ一つに調べはじめた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
ニーベルンゲン――暗い霧の子、|霧の衣、ああ霧だ霧だよ、霧、霧、霧……」 と法水の手が、頸の廻りをかいさぐると、握った指の間から、すうっと這い出るように海霧が遁れて行くのだが、さてそうして開いた掌には烟の筋一つさえ残らないのである。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
その書信は、ウルリーケの知人である、英人医師のバーシー・クライドから送られたものだが、かえって内容よりも、それがいかなる径路を経て、法水の手に入ったものか、検事は不審を覚えずにはいられなかった。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫