飾り竹
かざりだけ
名詞
標準
文例 · 用例
洒落た花形の電気の笠などの下った二階の縁側へ出て見ると、すぐ目の前に三聯隊の赭い煉瓦の兵営の建物などが見えて、飾り竹や門松のすっかり立てられた目の下の屋並みには、もう春が来ているようであった。
— 徳田秋声 『爛』 青空文庫
町中を五色の飾り竹で埋め盡した江戸の七夕祭の盛んな姿は、名所圖繪に僅かに名殘を留めるだけ、今は再現する由もありませんが、七夕からお盆へかけて、町中を有頂天にした行事の數々は、夏の暑さと鬪ひ拔く江戸つ子達を、どんなに勇氣づけてくれたかわかりません。
— 猿蟹合戰 『錢形平次捕物控』 青空文庫
」 館の電飾が流るるように、町並の飾竹が、桜のつくり枝とともに颯と鳴った。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
ああ、今朝もそのままな、野道を挟んだ、飾竹に祭提灯の、稲田ずれに、さらさらちらちらと風に揺れる処で、欣七郎が巻煙草を出すと、燐寸を忘れた。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
今は「風吹くな、なあ吹くな」と優き声の宥むる者無きより、憤をも増したるやうに飾竹を吹靡けつつ、乾びたる葉を粗なげに鳴して、吼えては走行き、狂ひては引返し、揉みに揉んで独り散々に騒げり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫