覆轍
ふくてつ
名詞
標準
文例 · 用例
太祖の深智達識は、まことに能く前代の覆轍に鑑みて、後世に長計を貽さんとせり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
新領地の事であるから、留守にも十分に心を配らねばならぬ、木村父子の覆轍を踏んではならぬ。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
源|頼朝は、前車の覆轍に鑑みて、容易に鎌倉を離れなかつた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
今の作家をして彼の中古派の覆轍を蹈ましめんと欲するものにあらざるか。
— 綱島梁川 『国民性と文学』 青空文庫
もし朝廷において一時の利得を計り、永久治安の策をなさない時には、すなわち北条の後に足利を生じ、前姦去って後奸来たるの覆轍を踏むことも避けがたいであろう。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
次に第二句の始に「底」といふ字ありて結句に「加茂の河水」と順序を顛倒したるは前の雪の歌と全く同一の覆轍に落ちたり。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
露西亜人の性情と境遇からはああした無茶苦茶な、間違った過程を取らねばならなかったのかも知れませんが、それに由って世界の人間は反対な教訓を受取り、どの国民も決してあの暴状を摸ねようとは考えないのですから、露西亜人は世界人類のために前車の覆轍を示したことになります。
— 与謝野晶子 『三面一体の生活へ』 青空文庫
その五大洲中ヨーロッパの文明が世界に冠たることを説き、その文明国を夷狄視することの浅見より、支那の覆轍を説いての教え方も要領を得ている。
— 流転の巻 『大菩薩峠』 青空文庫