赤塗り
あかぬり
名詞
標準
文例 · 用例
お民が隠れて居る所から一丁半も向うの此の屋敷町が直角に曲る所に、赤塗りポストの円筒が、閑静な四辺に置き忘れられたように立って居る。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
」 しばらく躊躇して見えたのちに熊吉は臺所に立つて行き、暗いなかで何かごそごそ音をさせてゐたが、やがて片手にお櫃を、片手に茶碗と箸ののつた赤塗りの膳を持つてもどつて來た。
— 島木健作 『黎明』 青空文庫
第三光景 赤塗りの羽目板の家はたしかに監視人の小舎であった。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
そのにほひが、義雄の初めて札幌並びに北海道に親しむ一つの手づるであつたのに?? 且、そのすぢ向ふの鐵工場の柳の青い枝に對照して、義雄が常に見慣れた赤塗りの機關釜も、どこへ持つて行つたか、跡かたもない。
— 憑き物 『泡鳴五部作』 青空文庫
そのにほひが、義雄の初めて札幌並びに北海道に親しむ一つの手づるであつたのに―― 且、そのすぢ向ふの鐵工場の柳の青い枝に對照して、義雄が常に見慣れた赤塗りの機關釜も、どこへ持つて行つたか、跡かたもない。
— 憑き物 『――泡鳴五部作』 青空文庫
私は丘を下り赤塗りの馬車に乗って街を廻り、アルノの河岸へ出てみた。
— 横光利一 『欧洲紀行』 青空文庫
と此間うちからさう思つてゐたんだが――」彼の呼び声で駆け出して来た杉田は、斯う云ひながら赤塗りの自転車から唇を震はせてゐる樽野を救け降した。
— 牧野信一 『F村での春』 青空文庫
」と、助役は手を振つて重吉を制しながら、辨當の包みから赤塗りの小ひさな箸を拔き出し、伸ばせるだけ手を伸ばして、數之介の前の香氣の高い土瓶から、恰好のよい春松茸を一つ挾み出して、がぶりと口に入れた。
— 上司小劍 『太政官』 青空文庫