さ迷う
さまよう
動詞
標準
文例 · 用例
恰もそれは、わたしがいつもたつたひとりで、森蔭の径や川のほとりをさ迷うとして、途中まで出かけて、意気地なくも慌てゝ引き返すと、しやにむに酒をあをつてしまはずには居られないといふやうな思ひであつた。
— 牧野信一 『痩身記』 青空文庫
先ず静かに寝かしつけておこうと思っても、何ものか寝てる子供を揺り醒ますものが絶えず波の中から霊魂のようにさ迷うて来るのだった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
心配そうというよりも、どこかへ突き刺さったままさ迷うような視線である。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
それにしても、このAという青年は、それ以来住所不定となって全国をふらふらさ迷うようになり、ときどき意外なところがら風のような葉書をぽつりとくれるようになったりした。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
しかし宿禰はひとり、ますます憂慮に顰んだ暗鬱な顔をして、その眼を光らせながら宮の隅々をさ迷うていた。
— 横光利一 『日輪』 青空文庫
街をさ迷うてゐるときにでも、少しも知らない男が、何か、物色してゐるやうな顏をして歩いてゐると、妙に、そいつが、君ちやんを奪ほふとして、きよろついてゐるやうに見えて來る。
— 大正十一年九月(推定) 小島勗宛 『書翰』 青空文庫
」 その大次郎の心中を思って、江上佐助の文珠屋佐吉、隠れ名、煩悩小僧は、その生まれながらの醜い顔に涙を浮かべたのだったが、ややあって大次郎は、「だからおれは、もう一度風に吹かれて街をさ迷う。
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫
申すまでもなく、曠野にさ迷うその旅人こそは、私どもお互いのことです。
— 高神覚昇 『般若心経講義』 青空文庫