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徒言

ただごと異読 ただこと
名詞
1
標準
plain speech
文例 · 用例
しかし若返るといっても、ただそれだけでは徒言である。
――黙子覚書―― 夢は呼び交す 青空文庫
私の書きものは一言半句正に何にもならない徒事徒言に過ぎないと思ひますが、これに「滑稽」ともいふべきものありとすれば、日常、夢にも右にいつた「山」とか「海」とかいふモノを感じたことのない塵埃の中の人間が誌した雑記として、あるひは多少その塵のカンジは出てゐるかも知れないといふことです。
木村荘八 東京の風俗 序 青空文庫
授業中の葉藏の一※一笑も、飛騨にとつては、ただごとでなかつた。
太宰治 道化の華 青空文庫
それも鳥に生れてただやすやすと生きるというても、まことはただの一日とても、ただごとではないのぞよ、こちらが一日生きるには、雀やつぐみや、たにしやみみずが、十や二十も殺されねばならぬ、ただ今のご文にあらしゃるとおりじゃ。
宮沢賢治 二十六夜 青空文庫
小沢十吉がたまたまはいった梅田の闇市場の食堂で、刺青をした男が唖の浮浪少女と連立って出るところを目撃した――という偶然は、ただそれだけでは大したこともないと言えるが、やがて乗った市電の中に、その二人も乗り合わせていたという偶然と折重ってみると、既に何となくただごとでなくなって来る。
織田作之助 夜光虫 青空文庫
これは、ただごとでないと、つぶやきながら、五兵衛は家からきた……」 おや、へんだなと、久助君は思った。
新美南吉 青空文庫
これはただごとではない、また兵乱の前兆か、饑饉疫癘の凶相かと、人人が不思議がっていると、午の刻になって俄かに大地震となり、海嘯が起った。
田中貢太郎 日本天変地異記 青空文庫
何かしら思い詰めているのか放心して仮面のような虚しさに蒼ざめていた顔が、瞬間カッと血の色を泛べて、ただごとでない激しさであった。
織田作之助 競馬 青空文庫