胄
胄
名詞
標準
文例 · 用例
初めのうちはこんなにも大人に育って女性の漿液の溢れるような女になって、ともすれば身体の縒り方一つにも復一は性の独立感を翻弄されそうな怖れを感じて皮膚の感覚をかたく胄って用心してかからねばならなかった。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
その崩が豊国へ入って、大廻りに舞台が交ると上野の見晴で勢揃というのだ、それから二|人三人ずつ別れ別れに大門へ討入で、格子さきで胄首と見ると名乗を上げた。
— 泉鏡花 『註文帳』 青空文庫
堂の書附には故将堂とあり、大さ纔に二間四方許の小堂なり、本尊だに右の如くなれば、此小堂の破損はいふ迄もなし、やう/\に縁にあがり見るに、内に仏とてもなく、唯婦人の甲胄して長刀を持ちたる木像二つを安置せり。
— 泉鏡太郎 『甲冑堂』 青空文庫
甲胄堂の婦人像のあはれに絵の具のあせたるが、遥けき大空の雲に映りて、虹より鮮明に、優しく読むものゝ目に映りて、其の人恰も活けるが如し。
— 泉鏡太郎 『甲冑堂』 青空文庫
また、安永中の続奥の細道には、――故将堂女体、甲胄を帯したる姿、いと珍らし、古き像にて、彩色の剥げて、下地なる胡粉の白く見えたるは。
— 泉鏡太郎 『甲冑堂』 青空文庫
近頃心して人に問ふ、甲胄堂の花あやめ、あはれに、今も咲けりとぞ。
— 泉鏡太郎 『甲冑堂』 青空文庫
此の度や蒋侯神、白銀の甲胄し、雪の如き白馬に跨り、白羽の矢を負ひて親く自から枕に降る。
— 泉鏡太郎 『甲冑堂』 青空文庫
上に貴胄の私曲が多かつたためでもあらうか、下には武士の私威を張ることも多かつた。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫