閉じこもる
とじこもる
動詞-五段-ラ行動詞-自動詞
標準
to seclude oneself
文例 · 用例
終日家にのみ閉じこもることはまれにて朝に一度または午後に一度、時には夜に入りても四辺の野路を当てもなげに歩み、林の中に分け入りなどするがこの人の慣らいなれば人々は運動のためぞと、しかるべきことのようにうわさせり。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
信吉はふと眉を翳らせて、それが癖の放心しているような虚ろな眼をあげて、きょとんと白い雨足を見ていたが、一つの気分に永く閉じこもることの出来ない信吉はすぐ軽佻浮薄な笑い声にふくませて、「僕は雨男ですね、旅行するときっと雨が降るんですよ。
— 織田作之助 『夜の構図』 青空文庫
婆やのお駒が私の部屋へ来て、芝生越の樹立ちの中の小亭を指して云う「大川さんが来る前は書き物をするからあすこへ閉じこもると仰るので、ほかのお客を断わってお貸ししてありますのに、赫子さんが来ると何も放り出してあの通り……。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫
豹一はそのまま土門と別れて帰るのが惜しいというより、ひとりになって孤独な気持のなかに閉じこもるのが怖かった。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
わが分析的競技者は決して自分だけの中に閉じこもることをしないし、またゲームが目的だからといって、ゲーム以外のものごとからの推定を拒んだりはしない。
— THE MURDERS IN THE RUE MORGUE 『モルグ街の殺人事件』 青空文庫
御用の書類などを調べる時には、いつもこの四畳半に閉じこもるのが例であった。
— 岡本綺堂 『真鬼偽鬼』 青空文庫
船客たちは船の動揺に辟易して自分の船室に閉じこもるのが多かったので、サルンががら明きになっているのを幸い、葉子は岡を誘い出して、部屋のかどになった所に折れ曲がって据えてあるモロッコ皮のディワンに膝と膝を触れ合わさんばかり寄り添って腰をかけて、トランプをいじって遊んだ。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
それから暗い部屋に外科医と一緒に閉じこもるキュリー夫人の前に、うめく人を乗せた担架が一つ一つと運び込まれ、彼女の活動は幾時間も続くばかりか、時によれば数日費された。
— 宮本百合子 『キュリー夫人』 青空文庫