清洒
せいしゃ
形容動詞
標準
文例 · 用例
和金の清洒な顔付きと背肉の盛り上りを持ち胸と腹は琉金の豊饒の感じを保っている。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
船は、櫂もなく艪もなしに、浜松の幹に繋いで、一棟、三階立は淡路屋と云う宏壮な大旅館、一軒は当国松坂の富豪、池川の別荘、清洒なる二階造、二見の浦の海に面した裏木戸の両の間、表通りへ抜路の浜口に、波打際に引上げてあった。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
井師の此度の今熊野の新居は清洒たるものではありますが、それは実に狭い。
— 尾崎放哉 『入庵雑記』 青空文庫
私は、高い石磴を登って清洒な神護寺の境内に上って行き、そこの掛け茶屋に入って食事をしたりしてしばらく休息をしていたが、碧く晴れた空には寒く澄んだ風が吹きわたって、茶褐色のうら枯れた大木の落葉がちょうど小鳥の翔るように高い峰と峰との峡を舞い上がってゆく。
— 近松秋江 『狂乱』 青空文庫
その理由は啻に男女相思の艶態に恍惚たるがためのみに非ず、人物と調和せるその背景が常に清洒なる小家の内外を描き、格子戸小庭什器衣裳の佳麗を尽して、能く貴公子と仕女との遊興を描けるものとなさんか。
— 永井荷風 『江戸芸術論』 青空文庫
これらの家屋は杉板と竹と網代の用法意匠余りに繊巧にして清洒なるがため風雨を凌ぐ家屋と見んよりはむしろ精巧なる玩具の如き観なしとせず。
— 永井荷風 『江戸芸術論』 青空文庫
食器の清洒風雅なるまた大に誇るに足るべし。
— 永井荷風 『矢はずぐさ』 青空文庫
其れも軽妙で、清洒で、すね気味な強みを持つてゐる美人でなければならぬ。
— 永井荷風 『虫干』 青空文庫