縁起棚
えんぎだな
名詞
標準
文例 · 用例
「稲葉家様の縁起棚の壁でござりますの、縁側などに掛っていて拝見したことがござりますよ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
この毛むくじゃらを、稲葉家の縁起棚の傍で見た事があるというだけ、その血相と、意気込みで、様子を悟って、爺さんは、やがて、押くり返し何と言われても、行った先を饒舌らなかった事は言うまでもない。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
お孝は顔を洗ったばかりの、縁起棚より前へする挨拶とて、いつになく、もじもじして、「ついね、お白酒の持越しで、酔っていたものですから、ほほほ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
)を熟と視ていた、稲葉家のお孝は、片手の長煙管をばたりと落して、すっと立つと、頂いて、長火鉢の向う正面なる、朝燈明の清く輝く、縁起棚の端に上せた、が、黙って伏拝んで、座蒲団に居直った時、眉を上げつつ流眄に、壁なる羆の毛皮を見た。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 お千世が顔を覗いて、「縁起棚へお燈明をあげて、そしてお祈をしましょうよ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 清葉は声を曇らしながら、二階で弄んで欄干越、柳がくれに落したのを、袖で受けて膝に持った、銀地の舞扇を開いて立って、長火鉢の向う正面に、縁起棚の前にきらりと翳すと、お孝が、肩を落して、仰向いて見つつ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 茶棚に背後向きになった肩を拊つばかり、ハタとそこへ、縁起棚から輝いて落ちたのは、清葉が、前に翳したままそこにさし置いた舞扇で。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
ふとここに心付いたらしく、立って頂いて、同じ縁起棚から取った小さな紙包み、(同妻。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫